2016/08/01

ある程度年齢を重ねてくると一度や二度は誰でも体験したことがあるであろう残尿感。
おしっこを出し切ったのにまだ残っているような感覚がある人や、ズボンに収納してから残った尿が漏れてしまう…こんな症状に頭を抱えたことがあるでしょう。
酷い人はおしっこを漏らしてしまったかのように衣服が汚れてしまう人もいるでしょう。
尿関係の悩み=加齢(老化)とイメージは簡単にできますが、ひと括りに老化と言っても原因はたくさんありますから「老化だから仕方ない」と片付けてしまうのは問題。
特に30代や40代で残尿感を頻繁に感じる様になってしまった人は注意!中には大きな病気の可能性もあるので身体のサインを見逃さないようにしましょう。
残尿感は老化で片付けるな!残尿を巻き起こす5つの原因
確かに70代・80代などかなりの高齢になってからの残尿感や、尿に関する悩みはある意味仕方のない事。
もしこの内容を読んでいる70代以上の方がおられるのであれば、深く気にする必要はないように思います。
問題なのはそこまで高齢でないにも関わらず頻繁に残尿感がある人。中には20代後半から残尿感を感じている人もいるでしょう。
残尿を巻き起こす原因は、筋力の衰えであったり加齢に伴う病気や臓器異常・ホルモンバランスの乱れなど様々。
これをひと括りに「老化」で片付けていいのでしょうか?何度も言いますが、そこまで高齢じゃない人の残尿感は意識した方がいいポイントなんです。
男性特有の前立腺肥大による尿関係のトラブル
高齢の男性特有の症状が前立腺肥大症です。この前立腺は生殖活動に欠かせませんが、加齢による男性ホルモンの影響などから肥大化してしまうケースがあります。
前立腺が肥大してしまうと尿道部分を圧迫してしまうことから尿関係のトラブルに悩まされる人が多くなるのです。
トイレが近くなる「頻尿」、夜中に頻繁にトイレで起きる「夜間頻尿」、急に我慢できないほどの尿意を感じる「尿意切迫感」、尿の勢いが弱くなる「尿勢低下」。
このように前立腺が肥大している場合は残尿感だけでなく、尿関係で多くの悩みを感じているはず。
前立腺肥大症に伴う残尿感は病気が原因です。この場合は投薬や手術による治療が基本です。サプリメントや生活習慣の見直しでも改善に向かう可能性もありますが、基本的には病院での診察が必須と言えるでしょう。
膀胱炎・神経因性膀胱炎・尿道炎などの疾患が原因の場合
男性の場合は膀胱炎になりにくいので少ないかもしれませんが、神経因性膀胱炎・尿道炎などは残尿感を巻き起こす原因となる病気としてよく挙げられます。
膀胱炎や尿道炎は尿道から細菌が侵入してしまうことで尿関係のトラブルを招いてしまいます。
頻尿や残尿感だけでなく、排尿時に痛みが発生することや尿が白く濁ったり血尿の症状が出る立派な病気です。
神経因性膀胱炎は病気や怪我などにより「自律神経」に障害が生じて起こる疾患。尿量を感じ取り「尿意」の信号を発生させる自律神経が乱れることで尿トラブルが生まれてしまうのです。
排尿機能だけでなく性機能や排便にも問題が生じてしまうのが神経因性膀胱炎の特長。
これらが残尿感の原因の場合は、立派な病気になるので老化と考えて放置するのは危険です。
糖尿病や腎臓疾患・隠れ心不全や脳梗塞など重篤な病気が原因の場合もある
高齢による残尿感やただの尿トラブルと捉えて軽視してはいけない理由がここにあります。最悪死に関係してしまう大きな病気が原因で尿のトラブルが生まれている可能性があるのです。
心不全は心臓の働きが弱くなる病気で、脳梗塞は脳の血液が詰まってしまうことで生じる危険な病気です。
どちらも血液循環の悪化が関係しており、血行不良になることで脳へ血液が上手く渡らなくなると尿意の信号に異常が発生してしまいます。
大脳にある前頭葉が尿や尿意をコントロールしているので、その部分の働きが弱まると尿トラブルが発生してしまうのです。
ただ単に尿のトラブルだと考えても「重篤な病気」の可能性もあるので非常に危険です。
尿道括約筋と膀胱排尿筋の衰えが残尿感を巻き起こす
おしっこをする時は尿道括約筋と膀胱排尿筋という筋肉が上手く連動することでスムーズな排尿が可能になっています。
正常であれば排尿時は「尿道括約筋は緩み」「膀胱排尿筋がぎゅっと縮み」ます。
引用:花王ヘルスケアナビ
この画像を見てもらえばイメージしやすいと思いますが、この2つの筋肉が老化などにより衰えてしまうことで上手く連動しなくなってしまいます。
そうなれば残尿感や尿漏れなどのトラブルが頻繁に発生。
本来しっかり締まって尿を止めておくべきですが、弱り機能が馬鹿になってしまうと尿が漏れてしまうという音です。
骨盤を支える骨盤底筋の衰えも残尿感の原因になります
尿道括約筋と膀胱排尿筋に近いのですが、骨盤を支える骨盤底筋も尿と便をしっかり溜めて出す為に重要な役割を担っています。
わかりやすく言えばおしっこを途中で止める時に肛門あたりをきゅっと締めると思います。その時に活躍しているのが骨盤底筋ですね。
運動不足や加齢に伴い筋力は衰えてしまいます。歩くことも少なくなっている人やデスクワークが多い人などは骨盤底筋が衰えがちです。
30代後半や40代など比較的若い年齢で残尿感に悩む人は尿道括約筋や膀胱排尿筋、骨盤底筋が衰えている可能性は高いと言えます。
もちろんコレが原因の場合はトレーニングをし鍛えることで残尿感は軽減し、やがて改善に向かうでしょう。
残尿感に悩む人は自力で改善するよりもまずは専門医の診察を受けましょう
- 前立腺肥大による影響
- 膀胱炎・神経因性膀胱炎・尿道炎などの疾患による影響
- 糖尿病・腎臓疾患・心不全・脳梗塞などの病気による影響
- 尿道括約筋・膀胱排尿筋の衰えによる影響
- 骨盤底筋の衰えによる影響
残尿感の原因は主にこれらが考えられます。極端に高齢でない場合は大きな病気が原因の場合もあるので注意が必要です。
若い世代の人の場合はデスクワークや運動不足による筋力の衰えの可能性も高いので、適度の運動や筋トレで十分改善できる場合もあるでしょう。
しかし勝手に筋力の衰えが原因だと解釈するのは危険です。もちろん加齢に伴うものだと判断するのもよくありません。
まずは泌尿器科など専門医を受診し正確な原因を見つけましょう。その上で対策やトレーニングを行うことがベストです。
「残尿感=老化のせい」だとひと括りに考えることはやめるべきです。